予告どおり

　◇アストロノト！　☆☆☆☆★
　昨日と同じ今日、今日と同じ明日でも、世界の危機の可能性よりも、密かに恋焦がれる金髪３Ｔ（ツインテ・ツンデレ・つるぺた）という凶悪すぎるスペックを誇る幼馴染（これもプラス要素）とのセックスフラグをへし折ってでも。たった一つ、ある理由で明かせない目的の為に「月へ行く」ことを決意するノト。
　現代が戦争だか環境破壊だかで文明が死んだ後、『旧文明』の科学が胡散臭いものとして変わりに魔法が席巻する世界。その中で様々な思惑、理由を抱えて宇宙を目指す宙士（アストロ）の物語。

　これはいいプチＳＦ・ファンタジー。
　この作品、物語の構成と伏線の張り方、回収が滅法上手い。
　文章は荒いですが、それも数冊重ねれば十分補強できるでしょうし、構成と伏線の扱い具合からみて、敢えてこうした文で書いてるのかも、とか。それぐらい、手馴れてる感を覚えます。
　しかし、一番の不満をあげるとするのであれば、上記のシーン＆ヒロイン達の入浴シーンを挿絵にもってこないという、ＭＦの気が触れたのかと思わざるを得ない所業ですね。ＭＦはそゆとこ、絶対に外さないレーベルだと思ってたのに。
　あと、本編ラスト２ページは、シリーズ化するにあたって必要な措置だと判断した書き下ろしなんでしょうが、これを新人優秀賞受賞作の作品として追記するのはどうも、美しさを感じない。蛇足じゃないかなぁ。
　展開もテンポ良く進むので、中だるみもありませんし、非常に引き締まった内容で安心して薦められます。次でたら買う。

アストロノト! (MF文庫 J あ 5-1) (2007/11) 赤松 中学 商品詳細を見る